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数字(確率)に基づくマリガン方針とデッキ構築について(ROG AFネメシスを例題)

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Rageやプロリーグの中継を見ていてとても不思議に思うことがあります。

それは、「マリガンで悩む姿」です。

それが「マリガンで悩む」のではなく、「緊張しているので精神を落ち着かせている」「この時間をめいっぱい使って瞑想するのが俺のルーチンだ!」とか、別の理由があるのであればいいと思いますが、大型大会やプロの試合といった大事な試合で「マリガンで悩む」というのは準備不足感が否めません。(実際、準備期間が短すぎてしょうがない、という側面があることは理解しています)

とはいえ、マリガンを行う段階で使う情報といえば、「自分のデッキ構成」「相手のクラス」「先攻or後攻」しかない訳で、これらは事前準備という枠の中で済ませられる範囲なのです。

マリガンをとっとと終わらせてしまえば、仮に相手がマリガンで悩んでいる場合、自分はマリガン後の手札でどういう行動をとっていこうかと計画を立てる時間を得られます。

ですので、「マリガンで悩む姿」を見たときに「適当なデッキ持ちこんでいるんだな」という印象を抱いてしまうのは仕方ないように思えます。

ということで、私はこう考えてマリガンしている(デッキ構築への適用含む)という内容を記述してみたいと思います。今回は、例題として、最近個人的に練習しているAFネメシスについて書きます。

デッキ構築とマリガン方針検討の大きな流れ

繰り返しますが、マリガンまでは事前準備枠なので、デッキ構築とセットだと思っています。なので、デッキ調整をしていくのと同時にマリガンも調整していく必要があります。

ということで、まず、全体の大きな流れから書きます。

~~全体の流れ~~

  1. 触ってみたいデッキについてとりあえず触ってみて感触を確かめる
  2. ある程度使っていると、対戦相手のデッキ毎に必要なマリガン方針やデッキ調整すべき点が見えてくる
  3. マリガン方針の策定とデッキ調整
  4. 方針が合ってそうかの試運転
  5. 以下、3と4を納得いくまで繰り返す

~~ここまで~~

そんなに外れていないと思います。

1,2に関しては、とりあえず触って対戦してみないとわからないことは多いので、適当に連勝しているレシピを探して真似すれば良いと思っています。そういう参考情報が無く、「これって俺だけが思いついたオリジナルじゃね?」とかであれば、自分でたたき台を作れば良いです。

3,4は調整を行っていく段階です。主にこの部分について、以下、ROGのAFネメシスをベースに書いていきます。

AFネメシスのデッキ調整とマリガンを考えてみる

まず、たたき台としてこんなデッキを用意します。

よくある形ですね。

この形から自分に合った形を検討していきます。

1,2.とりあえず触って、マリガンの方針の感触をつかむ

前述した「全体の流れ」に沿って、まずは触ってみて、どんなマリガンが有用そうか感触をつかんでいきます。

私の場合、AFネメシスを触っていて、以下のように感じました。

  • 《機械の加速兵》はパワーカードなので絶対引きたい。特に先4に出せるとすごく嬉しい。ただし、AFカードを埋められていないと悲しい。
  • 《機構の開放》はリソース補充面で重要そう。AFカード次第だが、明らかに1コスト以上の働きをすることが多いので全試合で単キープしてもよさそう。
  • 上2点の補足で、《粛清の英雄・メイシア》を8,9ターン目に走らせるには《機械の加速兵》と《機構の開放》をたくさん持っていないといけないので、やっぱりかなり重要だ。
  • 2ターン目の《魔鉄の獅子》はド安定行動。ほぼ裏目なし。
  • 対して、2ターン目の《キャットガンナー》は考え物。先攻だとあまり強くない。後攻で出すにしても相手が1/1並べる相手だと微妙。。キーカード引けてない段階で《エンシェントアーティファクト》も埋めたくない。AFカードを引けるカードが手札にあれば埋めてもいいかも。
  • ネメシスミラーでは、先に《粛清の英雄・メイシア》を走らせたもん勝ち。早めに引いておきたい。
  • 1ターン目の行動として、《マグナジャイアント》アクセラプレイは結構偉い。
  • 1ターン目に《オートメーション》+《メカニカルガンナー》の動きがあるにはある。悪くは無い?
  • 先攻後攻や、ネメシス以外の対面でマリガン方針を変える必要はなさそう(今のところ)。

この、得られた感触をもとにマリガン方針を定めていきます。

3.マリガン方針の検討およびデッキ調整

しばらく触ってみた感触から、キーカードが《機械の加速兵》、《機構の開放》、《魔鉄の獅子》、《粛清の英雄・メイシア》、《マグナジャイアント》あたりだなとわかってきました。あと、《オートメーション》+《メカニカルガンナー》のセットキープとかもあるのかなというのもわかりました。

それぞれについて「単キープするか」を考えます。「全力で探しにいく」というパターンもありますが、他のキーカードとの兼ね合いもあるので最後にまとめて考えます。

《機械の加速兵》について

まず、「単キープするかどうか」について考えてみます。

先4で置ければ強いんですが、裏目として、「1~3ターン目の間にAFを埋めるカードをプレイできなかった」というものがあります。

これについて確率を計算してみます。

初期手札で《機械の加速兵》がすくなくとも1枚と他2枚がAFを埋めるカードでなかった場合を考えます。この場合、2枚を手札交換で戻します。このとき、3ターン目までに少なくとも1枚AFを埋めるカードを引ける確率を算出します。

結果、こうなりました。

横軸にAFを埋めるカードの枚数、縦軸にデッキからドローしたカードの枚数を書きました。先攻だと3ターン目までに3枚ドローします。後攻だと4枚ドローします。

たたき台のデッキでは、AFを埋めるカードは11枚あります。ですので、この表から、「《機械の加速兵》を単キープした場合、先攻3ターン目までにAFを埋めるカードを引いてくる確率は83.7%、後攻3ターン目は89.0%なんだな」ということがわかりました。

実際は、4ターン目に《オートメーション》を引いてきた場合は4ターン目にAFカードを埋められますし、《マグナジャイアント》や《フロートボードマーセナリー》でデッキ圧縮するなど引ける確率は上がる方向にあるシチュエーションがありますので、もう少し確率は上がるはずです。

なので、ざっくり先攻で8割5分、後攻で9割くらいは大丈夫そうかなと把握できました。

ついでに、デッキ調整で、例えば《機構二輪の天使》を増やしたり減らしたりして「AFを埋めるカードの枚数が」10や12になった場合の確率も、先ほどの表に書いてあるので、これでどれくらい確率がかわりそうかも確認します。

そうすると、10枚だと先攻3ターン目で8割くらいで若干心もとない感じがします。12枚だと良くはなるものの、そんなに変わんないかなという印象です。どうせやるなら13枚にして(《流体使い》でも入れる?)9割くらいにしたいです。ただ、ここは枠との相談にもなるので、一旦8割5分でよしとします。

これらの検討から、「《機械の加速兵》を単キープするためにAFカードを埋めるカードを増やす必要はないかな」そして、「《機械の加速兵》を単キープしてもよさそうだな」と判断します。

さらに言うと、今回の検討では、「AFを埋めないカードを初期手札にきたこと」を前提としているので、《オートメーション》や《キャットガンナー》のようなカードが初期手札に来ていた場合、《機械の加速兵》単キープした場合、8割5分で大丈夫だ!といって手札交換した場合、8割5分という数字は成立しないです。なので、この場合セットキープしないと事故りそうだなということもわかりました。

次に心配しなければならないことは、「2パスする序盤事故の可能性」です。

これに関しては、このブログにあるツールをつかいます。(リンク→ドロー枚数における引きたいカードを少なくとも一枚ひける確率計算ツール

このたたき台のデッキには2コストフォロワーが10枚入っています。そして、今回の《機械の加速兵》の単キープ検討から、《機械の加速兵》+《オートメーション》をセットキープしないといけなくて、1枚交換しかできないというシチュエーションが、2パス回避のマリガン的に一番しんどい条件となるので、この条件で確率計算します。

先ほどのツールのところに、引きたいカードのデッキ投入枚数(今回の場合2コストフォロワーが10枚なので「10」)を入力し、マリガンで戻したカードの枚数を「1」と入力します。結果は以下の画像のようになりました。

ドロー枚数2のところをみます(先攻2ターン目を想定)。そうすると84.196%と書いてあります。つまり、84.196%の確率でなんらかの2コストフォロワーを引ける計算となります。

これを見て、まあ、8割5分くらいだからいいだろう(ここはちょっと適当)、と判断します。

次に、本当は序盤に置きたくない2コストフォロワーを初期手札で引いた場合を考えます。今回の例で言うと、《機械の加速兵》《オートメーション》《歯車の回し手・リヒト》というような初期手札です。

先ほどのツールで、デッキ投入枚数を10から9に減らして(初期手札にリヒトが1枚来ているため)《歯車の回し手・リヒト》1枚を戻したとして、計算してみます。(厳密な計算ではないですが、概算なのでこれでよしとします)

先攻2ターン目のことを考えると80.459%という数字がでてきました。個人的に8割は信用していないので、戻すのはリスクありと考え、全キープする方針とします。

ここまで考えた段階で、次の問題が浮かび上がります。「《機械の加速兵》とAF埋めない序盤欲しくない2コストフォロワーってセットキープすべき?」です。

これについて計算をしてみます。計算結果は下表です。

これは、マリガンで戻す枚数を1枚とした場合の計算結果です。先ほどと比べ、3ターン目までにAFカードを埋めるカードを引ける確率は8割を切るくらい減っています。これでは、《機械の加速兵》を4ターン目に素置きする羽目になる可能性が上がってしまっています。

ということで、2パスのリスクとAF埋められないリスクを天秤に掛け、AF埋められないリスクの方がきついと見て、「《機械の加速兵》とAF埋めない序盤欲しくない2コストフォロワーってセットキープすべき?」については、セットキープしない方針とします。

以上の検討から、《機械の加速兵》に関するマリガン方針として、「単キープする」「AFを埋めるカードがある場合、《オートメーション》だろうがセットキープする」「さらに2コストフォロワーがいる場合は、AF埋めるカードあるならセットキープする、ないならセットキープしない」という方針を立てることができました。

《機構の開放》について

続いて、《機構の開放》についてですが、これについては《機械の加速兵》ほど複雑ではないです。

先ほどの検討である程度2パスに関して検討できているので、ここでは、「《機構の開放》と序盤に欲しくない2コストフォロワー1or2枚がきた場合」について考えます。

これまでと同じようにツールに条件を記入していきます。

ツールの仕様上、引きなおすことがあるのでこのやり方は厳密ではないのですが・・・(いつかツールを修正したいです)

とりあえず、上の結果より、「《機構の開放》+序盤欲しくない2コストフォロワー1枚+なにか」の場合は、《機構の開放》単キープで良さそう、「《機構の開放》+序盤欲しくない2コストフォロワー2枚」の場合、2枚とも戻しちゃうと2パスしそうなので、1枚はキープする、という方針と定められました。

《魔鉄の獅子》について

これは簡単です。裏目も特にない優秀なカードなので、基本キープする方針とする。

《粛清の英雄・メイシア》について

対ネメシス戦において、引いておかないと話しにならないという感触から、全力マリガンとする。全力マリガンに対する代償は目をつぶる。

一番対抗条件としてあるのが、初期手札3枚が《魔鉄の獅子》だった場合です。

全部返した場合でも、8割くらいは2ターン目に動けそうなので、これは目をつぶることとします。

《マグナジャイアント》について

これはちょっと難しいです。

とりあえず、《マグナジャイアント》を1ターン目にプレイした場合、何を持ってこれるか計算します。

《フロートボードマーセナリー》→1/7=14.28%

《メカニカルガンナー》→3/7=42.86%

《機械の加速兵》→3/7=42.86%

こんな感じです。

次に、全力マリガンで《機械の加速兵》を1ターン目までに持ってこれる確率をツールで出してみます。

先攻なら44.344%、後攻なら48.982%のようです。

次に、《マグナジャイアント》を単キープしたとして、1ターン目までに《機械の加速兵》をドローできる確率を計算してみます。

これで、1ターン目に《マグナジャイアント》をプレイすることまで含めて、1ターン目終了時に《機械の加速兵》を引けている確率を計算します。

計算式は、1-(マリガンで引けない確率)×(マグナジャイアントで引けない確率)なので、

1-(1-0.39126)*(1-0.4286)=65.22%

ということで、全力マリガンするよりも《機械の加速兵》を引きやすい確率となります。

ついでに言及すると、デッキ圧縮効果もあるので、4ターン目までに引ける確率も高くなります。

ということで、《マグナジャイアント》は《機械の加速兵》として扱って、《機械の加速兵》と同じようなマリガン基準にすれば良さそう、とします。

これらの複合条件を考える

例えば、《マグナジャイアント》+《機械の加速兵》が初期手札にあった場合であれば、AFを埋めるカードを引かないとしょうがないし、《マグナジャイアント》は《機械の加速兵》としてみている扱いとしているので《マグナジャイアント》を戻す、という判断ができると思います。

悩みどころは、《機構の開放》+《機械の加速兵》のような条件のときです。

ここで、《機械の加速兵》のところの検討内容で、序盤欲しくない2コストフォロワーを引いたときにどうするかで検討した内容を思い出します。そのときの議論と同じ考えで、「1枚しか戻せない場合、AFを埋めるカードを引ける確率がぐんっと下がるので、《機構の開放》はキープできない」と判断できます。

基本的に、ここまで検討してきた内容がある程度いろいろ想定できていれば、それに照らし合わせて判断することができると思います。

その他の特殊セットキープについて

《メカニカルガンナー》+《オートメーション》のような形ですね。

正直ここをどう考えればいいかはかなり難しいです。

メリット

  1. 1ターン目に1/1を置いて序盤から攻められる
  2. AFを埋めてAF埋められない事故を防げる
  3. 序盤の《メカニカルガンナー》追加ドローに対して受けが広がる

デメリット

  1. デッキが膨らみ、キーカードが引きにくくなる
  2. マリガンで引ける枚数がこの2枚で枠を埋めるので、融通が利きにくい
  3. 2ターン目にPP余らせる可能性がある

ということで、2ターン目に動ける確率を出してみます。

これは、1枚だけカードを戻して、1ターン目は37枚から引きたいカードを引ける確率、2ターン目以降は39枚(《オートメーション》でデッキ膨らませて、《メカニカルガンナー》で1枚引いた状態)から引きたいカードを引ける確率、という条件で計算しています。

欲しいカードを、2コストフォロワーの10枚+追加の《メカニカルガンナー》2枚の合計12枚としてみると、2ターン目までに引ける確率は先攻で68.4%、後攻で78.4%と心もとない数字となっています。

これまでの検討で信用できる確率を8割5分と置いて考えてきたので、それに照らし合わせるとなんとも微妙な結果といわざるを得ません。

仮に《オートメーション》で埋めた残りの3枚のAFカードも引いてきて大丈夫な+3枚の合計15枚と見ても、先攻で78.2%、後攻で86.8%です。後攻なら合格ラインですが、この場合2ターン目に動けることを想定しているので、《オートメーション》で埋めるカードは1コスト2種ということになります。先が見えない状況で《エンシェントアーティファクト》は埋めたくないと考えると、やっぱり微妙な結果となります。

とはいえ、その後に控えている動きが、《機械の加速兵》のようなAFを引くカードであれば巻き返しもききそうなので、AFカードを引けるカードを持っているときはありと判断します。

以上の考察から、《メカニカルガンナー》+《オートメーション》のセットキープは、3枚目が2コストフォロワーorAFを引くカードのときのみ行うことにする、という方針とします。

マリガン方針のまとめ

これまでの考察から、マリガン方針を以下のようにすることとしました。

  1. 《機械の加速兵》は単キープする、他がAF埋めるカードならセットキープ、その上で2コストフォロワーがいたらさらにセットキープ、AF埋めるカードないなら2コストフォロワーはセットキープしない
  2. 《機構の開放》は単キープする、ただし、他2枚が2コストフォロワーなら少なくとも1枚はキープする
  3. 《マグナジャイアント》は単キープし、《機械の加速兵》と同様のマリガン方針とする、ただし、《機械の加速兵》が見えている場合、そちらを優先する
  4. 《魔鉄の獅子》は単キープする
  5. 《メカニカルガンナー》+《オートメーション》は、3枚目が2コストフォロワーorAFカードを引くカードのときフルキープする
  6. 対面ネメシスの場合は、上記を無視して《粛清の英雄・メイシア》を全力で狙う

あとは、この結果に応じて何度かマリガンする練習をすれば、大型大会などの本番ではマリガンで悩むことはなくなると思います。

また、これはあくまでこの段階における方針であって、この方針で運用した結果、うまくデッキが回らないなどで再調整することは必要となります。(最初の方に書いた、大きな流れのうちの5に相当)

さいごに:デッキ構築への影響

今回の検討では、8割5分を許容できる確率ラインとして検討してきました。

その結果、たまたまデッキを変更するようなことがありませんでしたが、許容できる確率ラインの設定がもっと厳しかったりすると、デッキ調整が必要となってきます。

例えば、今回の例では、8割5分ではなく9割を事故らない確率ラインとするなら、《機構二輪の天使》や《流体使い》を増やして、AFを埋めるカードを3ターン目までになんとかプレイする、といったことも考えられます。

デッキ構築とマリガンは表裏一体だと思っているので、デッキ構築に縛られるならそれにあわせてマリガンを考え、事故率を下げる必要があってマリガンがとてもシビアなら、それにあわせてデッキを調整する必要があるはずです。

これはあくまで、私個人の考え方です。別の視点での考え方が見えなくなっているかもしれないので、なにかありましたらコメントとかで意見貰えると嬉しいです。

(歳を重ねるにつれ、だんだんと考え方に柔軟性が無くなってきているのを感じて来ています。。。。)

さいごにぶっちゃけますが、私もRageまでにデッキ決まらなさ過ぎてここまで検討できていることは稀だったりします。。

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